高齢者の生活援助を行うにあたり大切にしたいのは、利用者ひとりひとりのこれまでの歩みや、これからどう生きていきたいかということです。特に高齢者は人生経験が長く、長年続けてきた生活習慣があったり独自の価値観やこだわりを持っています。その点を理解したうえで生活援助を行うなら、お互いに信頼関係を築き、利用者にとって最適な環境を整えることができます。

高齢者の生活援助では、利用者自身の自立を意識したいものです。生活援助というと手を差し伸べることを考えがちですが、介助者は利用者自身が現時点でできることに目をとめ、残されている能力を活用しながら自立して生活できるよう支援していく姿勢が求められます。可能であれば、バリアフリーなど生活環境を整えたり、福祉用具などを活用して利用者自身が現状を維持しつつ、やれることを拡大できるように支援したいものです。できることが増えて、「またできそうだ」という気持ちが芽生えれば、生きる意欲にもつながるでしょう。

安全と予防は、高齢者の生活援助でキーとなる言葉です。体力が落ちてくると、足元がふらついたり食べ物を飲み込めなくなります。利用者の日常生活の動作を継続的に観察するなら、どの部分がウィークポイントなのか機能的に落ちてきているのかがわかるので、安全に配慮した予防的な対応を心がけます。特に病気は早期に発見し、重大な疾患につながらないよう医療関係者に報告することも大切になります。